週刊ブックレビュー アンコール(940号)2012年1月7日(2011年11月19日)
特集「東川篤哉 本屋大賞受賞作第2弾!」
単行本・文芸 週間ベストテン
トーハン 11月15日調べ- 謎解きはディナーのあとで 2 東川篤哉
- 謎解きはディナーのあとで 東川篤哉
- 百歳 柴田トヨ
- マスカレード・ホテル 東野圭吾
- くじけないで 柴田トヨ
- ジェノサイド 高野和明
- 下町ロケット 池井戸潤
- 草原の風(中) 宮城谷昌光
- かわいそうだね? 綿矢りさ
- 舟を編む 三浦しをん
北「――三浦しをんさんの舟を編む。これはおもしろいですね。タイトルの意味なんですが、辞書というのは言葉の海をわたる舟だ――我々は舟を編むんだというところからつけられたタイトルなんですが、国語辞書を作る裏側の話を、たくさん出ていてですね非常におもしろいです」
衣「――高野さんのジェノサイドですね。――おもしろさは文句なしなので、それよりですね、これを読んで高野さんおもしろいなと思った人は是非、高野さんの他の本を読んでほしいですね」
え「――やっぱり柴田さんの本ですかね。――先週、五十一歳になって、あと半分生きたらあの年齢になるわけじゃないですか。――すごく何気ない一言、風景でね、心がすっごく幸せに――笑ってますね(皆笑)馬鹿にしてます(皆笑)――きましたね。――こういう本、大好きです」
「舟を編む」が本屋大賞2012の一位、「ジェノサイド」
が二位になったようで。間違いない二冊なんだろうなとは思うけど、こうして既に売れて評価されているものを後追いするのが本屋大賞なんだっけ?
「ジェノサイド」はもちろんのこと、「舟を編む」も時間ができたら必ず読むけど。
おすすめの一冊
石田衣良
- されど罪人は竜と踊る 10 浅井ラボ
衣「――若い世代の表現はどう変わっているんだろうと思って、ここのところライトノベルを四〜五十冊読んでみたんです。そのなかで一番僕の好みに合っていた、剣と魔法のファンタジー。――大人の小説をそろそろ、書いてきてくれていんじゃないかなって思ってるんですけどね。楽しみですね、浅井さん」
- オスカー・ワオの短く凄まじい人生
衣「――やっぱオタクが世界を制覇したんだなっていうのがわかりますね。この本も、結局いろいろね独裁者の話とかでてくるんですけど、最後の最後のクライマックスは、いかにこのオタクの青年が童貞を捨てるかっていうところで終わってます。感動するお話なので是非」
合評 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活 奥泉光
衣「――奥泉さんこれね、すごく楽しみながらノリノリで書いたなってのがわかります。――口幅ったい言い方ですけど、芸のある人が楽しみながら書くと、こういうあのちょっと皮肉で良いものができるという、だからあのユーモアミステリーって数ありますけれど、ほんとに文体を文章を読んでおもしろい、そういうものとしてきちんと立ち上がってるんじゃないですかね」
え「心理描写がドストエフスキーばりの、瞬間ごとにめくるめく変わっていくその描写がすごいんですけど、その思考回路たるや全てみみっちいわけじゃないですか。(笑)――でもそのみみっちさが、読んでてこう、超うけると思ってるんですけど、うけるってことはこっちもみみっちいわけでしょ」
衣「――そうなんですけど、みみっちい人、たらちね国際大学の生徒、クワコーについてもそうなんですけど、散々悪口を言いながら嫌な人に書いてないんですよね。――今の日本人ってみんなこうじゃないかって、見切って奥泉さん書いてるところが、わりと僕なんか好きなんですよ」
え「距離感が良いですよね。――どんなに悪く書こうが批判してないから、すごくスーってくるんですよね。千葉県もすごく悪く書いてるじゃないですか」
滑「そうなんですよ。実は僕、千葉県出身なんで。なんか敵に回してるな、みたいな。茨城県とか、青森県とか、いろいろ敵に回しますね奥泉さん」
(笑)室「この方、どちらなんですか、ご出身は。山形なのにねえ」
(笑)北「奥泉さんは素晴らしい小説をお書きになってる方なんですが、――ユーモアものがですね私ちょっとだめなんですよ。――ユーモアミステリーっていうものを楽しむためのコツとか、あると思うんですが、私それがわからないもんですから、ちょっと入っていけないんですよ」
衣「――地方差別と学力差別みたいな、今日本ではタブーとされているところにばっちり切り込んでいるので、そうゆうのが好きな人は――すごくバカな学生を優しく書いている。ここの子たちの飲み会だったら行ってみたいなあ」
石田えり
- 平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学 M・スコット・ペック
え「――人間の悪を科学するっていうことで、実際の精神科医の先生が、実際自分が診た患者さんの研究をもとに書かれた本なんですけど。一言で言うと、平気で嘘をつく人たちっていうのは、一見、立派で、真面目な、嘘つきに見えない、こういう(→石田衣良さん)感じの(笑)人みたいですね」
- 愛する言葉 岡本太郎 岡本敏子
え「こういうふうに相手のことを想えたら、もう人生ほとんどOKだなとわたし思うんですね。こういうキラキラした言葉が詰まった本っていうのをお家にあるっていうだけで、そこから綺麗なオーラがでてる感じで、家にあるとほっとする本です」
合評 “本物”を見極める 3億円のヴァイオリンはいかに鑑定されるのか? 佐藤輝彦
え「――最近、本物と偽物っていう、それになんかすごく興味があって――ヴァイオリンっていうか、一つのことを追求してらっしゃる人の言葉なので、すべての仕事や人をみるときにも通じるものがあるんじゃないかと思って、それで興味があって――。――道筋がね、ほんとうに出会いとか不思議なものだなと思いましたね」
衣「――みんなにこれをキャッチーに知らせるとしたら、一本ほんとに一丁十億円以上するようなオールドのものがあるってことですね。――値段がどんどんつり上がっているっていう、ある種ちょっと異常なマーケットの世界があるんですよ。そこのなかに、ついこの前までアルバイトでお店かなんかやってた人、そういう人がいきなり飛び込んでいって――」
北「――私は全然音楽に興味がなくて感心もなかったんで、話として読んだんですが、すごいおもしろかったです。――ヴァイオリンが本物かどうかを見抜く鑑定士っていう資格はないんですよね。――つまり誰が鑑定してもいいわけですよね。ただし本物を見抜く人はやっぱり本物にしかわからないという。その目っていうのが、ある人とない人がいる。この人は、べつに鑑定士になりたいと思ってなったわけじゃなくて、ほんの人生の気まぐれ、ちょっとしたきっかけでなっただけなんですが――おそらくそういう要素を持った人がたまたまそういう境遇におかれたんでその芽がでたっていうことですよね。それがすごく人生の不思議さを感じますね」
え「一瞬の勘っていうのが当たるっていうのが、そこから一瞬ぱっと思っても、その一瞬後に邪(よこしま)な、これを売るととかっていう、そういう欲が入るとだんだん見えなくなってくるっていうのが、またね、おもしろいですよね」
衣「そこの部分はね、もっとやっぱり書いてもらっても良かったかもしれませんね。一丁一千万とか二千万で買って、本物かどうかは自分の目だけじゃないですか。――そこのスリリングな感じを、ぎゅっと書いた次の本がちょっと読んでみたいですね」
室「童話と言ったらあれなんですけども、ヴァイオリンが七回戻ってくる。売って、自分のところに七回戻ってきた話なんて、なにかこう童話になりそうなお話だったり」(*七回めぐってきたヴァイオリン)
衣「でもそれは、ちょっと呪われたヴァイオリンみたいな話ですよね」
(笑笑笑)滑「――今自分が良ければいいんじゃなくて、将来的に繋がっていくように仕事をしていくんだと。これやっぱりヴァイオリンの仕事だけじゃなくて、全ての仕事に通じるんだなというような」
衣「そうですね。結局一番最後に利益を一番大きくするのはその方法なんですよね。誠実にきちんと商売するっていうのが一番良いので。いやほんとに。一発当てようみたいなこと考えちゃだめですねえ僕たちも」
(笑)
北上次郎
- 木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか 増田俊也
北「――まあ膨大な取材と資料を読み込んだノンフィクションなんです。すごいおもしろいです」
- おまえさん(上)
(下) 宮部みゆき
北「――天才宮部みゆきのおもしろさが凝縮している時代ミステリーです」
合評 007 白紙委任状 ジェフリー・ディーヴァー
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特集
東川篤哉「謎解きはディナーのあとで」を語る
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