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週刊ブックレビュー アンコール(940号)更新中

週刊ブックレビュー / mihiro

週刊ブックレビュー アンコール940号)2012年1月7日(2011年11月19日)
特集「東川篤哉 本屋大賞受賞作第2弾!」


単行本・文芸 週間ベストテン

 トーハン 11月15日調べ
  1. 謎解きはディナーのあとで 2 東川篤哉
  2. 謎解きはディナーのあとで 東川篤哉
  3. 百歳 柴田トヨ
  4. マスカレード・ホテル 東野圭吾
  5. くじけないで 柴田トヨ
  6. ジェノサイド 高野和明
  7. 下町ロケット 池井戸潤
  8. 草原の風(中) 宮城谷昌光
  9. かわいそうだね? 綿矢りさ
  10. 舟を編む 三浦しをん

北「――三浦しをんさんの舟を編む。これはおもしろいですね。タイトルの意味なんですが、辞書というのは言葉の海をわたる舟だ――我々は舟を編むんだというところからつけられたタイトルなんですが、国語辞書を作る裏側の話を、たくさん出ていてですね非常におもしろいです」

衣「――高野さんのジェノサイドですね。――おもしろさは文句なしなので、それよりですね、これを読んで高野さんおもしろいなと思った人は是非、高野さんの他の本を読んでほしいですね」

え「――やっぱり柴田さんの本ですかね。――先週、五十一歳になって、あと半分生きたらあの年齢になるわけじゃないですか。――すごく何気ない一言、風景でね、心がすっごく幸せに――笑ってますね(皆笑)馬鹿にしてます(皆笑)――きましたね。――こういう本、大好きです」

 「舟を編むが本屋大賞2012の一位、「ジェノサイドが二位になったようで。間違いない二冊なんだろうなとは思うけど、こうして既に売れて評価されているものを後追いするのが本屋大賞なんだっけ?
 「ジェノサイド」はもちろんのこと、「舟を編む」も時間ができたら必ず読むけど。


おすすめの一冊

 石田衣良

  • されど罪人は竜と踊る 10 浅井ラボ

    衣「――若い世代の表現はどう変わっているんだろうと思って、ここのところライトノベルを四〜五十冊読んでみたんです。そのなかで一番僕の好みに合っていた、剣と魔法のファンタジー。――大人の小説をそろそろ、書いてきてくれていんじゃないかなって思ってるんですけどね。楽しみですね、浅井さん」

  • オスカー・ワオの短く凄まじい人生

    衣「――やっぱオタクが世界を制覇したんだなっていうのがわかりますね。この本も、結局いろいろね独裁者の話とかでてくるんですけど、最後の最後のクライマックスは、いかにこのオタクの青年が童貞を捨てるかっていうところで終わってます。感動するお話なので是非」

  • 合評 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活 奥泉光

    衣「――奥泉さんこれね、すごく楽しみながらノリノリで書いたなってのがわかります。――口幅ったい言い方ですけど、芸のある人が楽しみながら書くと、こういうあのちょっと皮肉で良いものができるという、だからあのユーモアミステリーって数ありますけれど、ほんとに文体を文章を読んでおもしろい、そういうものとしてきちんと立ち上がってるんじゃないですかね」

    え「心理描写がドストエフスキーばりの、瞬間ごとにめくるめく変わっていくその描写がすごいんですけど、その思考回路たるや全てみみっちいわけじゃないですか。(笑)――でもそのみみっちさが、読んでてこう、超うけると思ってるんですけど、うけるってことはこっちもみみっちいわけでしょ」

    衣「――そうなんですけど、みみっちい人、たらちね国際大学の生徒、クワコーについてもそうなんですけど、散々悪口を言いながら嫌な人に書いてないんですよね。――今の日本人ってみんなこうじゃないかって、見切って奥泉さん書いてるところが、わりと僕なんか好きなんですよ」

    え「距離感が良いですよね。――どんなに悪く書こうが批判してないから、すごくスーってくるんですよね。千葉県もすごく悪く書いてるじゃないですか」

    滑「そうなんですよ。実は僕、千葉県出身なんで。なんか敵に回してるな、みたいな。茨城県とか、青森県とか、いろいろ敵に回しますね奥泉さん」

    (笑)

    室「この方、どちらなんですか、ご出身は。山形なのにねえ」

    (笑)

    北「奥泉さんは素晴らしい小説をお書きになってる方なんですが、――ユーモアものがですね私ちょっとだめなんですよ。――ユーモアミステリーっていうものを楽しむためのコツとか、あると思うんですが、私それがわからないもんですから、ちょっと入っていけないんですよ」

    衣「――地方差別と学力差別みたいな、今日本ではタブーとされているところにばっちり切り込んでいるので、そうゆうのが好きな人は――すごくバカな学生を優しく書いている。ここの子たちの飲み会だったら行ってみたいなあ」

 石田えり

  • 平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学 M・スコット・ペック

    え「――人間の悪を科学するっていうことで、実際の精神科医の先生が、実際自分が診た患者さんの研究をもとに書かれた本なんですけど。一言で言うと、平気で嘘をつく人たちっていうのは、一見、立派で、真面目な、嘘つきに見えない、こういう(→石田衣良さん)感じの(笑)人みたいですね」

  • 愛する言葉 岡本太郎 岡本敏子

    え「こういうふうに相手のことを想えたら、もう人生ほとんどOKだなとわたし思うんですね。こういうキラキラした言葉が詰まった本っていうのをお家にあるっていうだけで、そこから綺麗なオーラがでてる感じで、家にあるとほっとする本です」

  • 合評 “本物”を見極める 3億円のヴァイオリンはいかに鑑定されるのか? 佐藤輝彦

    え「――最近、本物と偽物っていう、それになんかすごく興味があって――ヴァイオリンっていうか、一つのことを追求してらっしゃる人の言葉なので、すべての仕事や人をみるときにも通じるものがあるんじゃないかと思って、それで興味があって――。――道筋がね、ほんとうに出会いとか不思議なものだなと思いましたね」

    衣「――みんなにこれをキャッチーに知らせるとしたら、一本ほんとに一丁十億円以上するようなオールドのものがあるってことですね。――値段がどんどんつり上がっているっていう、ある種ちょっと異常なマーケットの世界があるんですよ。そこのなかに、ついこの前までアルバイトでお店かなんかやってた人、そういう人がいきなり飛び込んでいって――」

    北「――私は全然音楽に興味がなくて感心もなかったんで、話として読んだんですが、すごいおもしろかったです。――ヴァイオリンが本物かどうかを見抜く鑑定士っていう資格はないんですよね。――つまり誰が鑑定してもいいわけですよね。ただし本物を見抜く人はやっぱり本物にしかわからないという。その目っていうのが、ある人とない人がいる。この人は、べつに鑑定士になりたいと思ってなったわけじゃなくて、ほんの人生の気まぐれ、ちょっとしたきっかけでなっただけなんですが――おそらくそういう要素を持った人がたまたまそういう境遇におかれたんでその芽がでたっていうことですよね。それがすごく人生の不思議さを感じますね」

    え「一瞬の勘っていうのが当たるっていうのが、そこから一瞬ぱっと思っても、その一瞬後に邪(よこしま)な、これを売るととかっていう、そういう欲が入るとだんだん見えなくなってくるっていうのが、またね、おもしろいですよね」

    衣「そこの部分はね、もっとやっぱり書いてもらっても良かったかもしれませんね。一丁一千万とか二千万で買って、本物かどうかは自分の目だけじゃないですか。――そこのスリリングな感じを、ぎゅっと書いた次の本がちょっと読んでみたいですね」

    室「童話と言ったらあれなんですけども、ヴァイオリンが七回戻ってくる。売って、自分のところに七回戻ってきた話なんて、なにかこう童話になりそうなお話だったり」(*七回めぐってきたヴァイオリン)

    衣「でもそれは、ちょっと呪われたヴァイオリンみたいな話ですよね」

    (笑笑笑)

    滑「――今自分が良ければいいんじゃなくて、将来的に繋がっていくように仕事をしていくんだと。これやっぱりヴァイオリンの仕事だけじゃなくて、全ての仕事に通じるんだなというような」

    衣「そうですね。結局一番最後に利益を一番大きくするのはその方法なんですよね。誠実にきちんと商売するっていうのが一番良いので。いやほんとに。一発当てようみたいなこと考えちゃだめですねえ僕たちも」

    (笑)

 北上次郎

特集

 東川篤哉「謎解きはディナーのあとで」を語る

  • 「」

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    週刊ブックレビュー 944号

    週刊ブックレビュー / mihiro

    週刊ブックレビュー 944号 2011年12月24日
    2011 年末スペシャル
    特集「今年はこれ!司会者感動のベスト5」


    2011 総合 年間ベストテン

     トーハン調べ

     このベストテン、読んでみたいと思える本が一冊もない……


    2011 文庫本 年間ベストテン

     旭屋書店 本店調べ
    1. プリンセス・トヨトミ 万城目学
    2. 阪急電車  有川浩
    3. 図書館戦争 図書館戦争シリーズ(1)  有川浩
    4. 大阪今昔散歩  原島広至
    5. 永遠の0  百田尚樹
    6. 八日目の蝉  角田光代
    7. 三陸海岸大津波  吉村昭
    8. ダイイング・アイ  東野圭吾
    9. ガリレオの苦悩  東野圭吾
    10. 神様のカルテ 夏川草介

     大阪の書店データだけあって地域色がでている感じ。
     文庫になると妥当な売れ筋のものが売れているだけと、そのまんまか。


    2011 新書・ノンフィクション 年間ベストテン

     紀伊國屋書店 札幌本店調べ
    1. 老いの才覚 曽野綾子
    2. 官僚の責任 古賀茂明
    3. 伝える力 池上彰
    4. デフレの正体 経済は「人口の波」で動く 藻谷浩介
    5. 日本人の誇り 藤原正彦
    6. 怒らない技術 嶋津良智
    7. 北海道 地名の謎と歴史を訪ねて 合田一道
    8. 原発のウソ 小出裕章
    9. 働かないアリに意義がある 長谷川英祐
    10. 日本語教室 井上ひさし

     ポジティブ側の本が少ないのは風潮的なものか。まあ1位の本がこれじゃあ……根深いな。


    2011 わたしが選ぶこの1冊!

     室井滋

    • すべて真夜中の恋人たち 川上未映子
      週刊ブックレビュー 937号
      特集「川上未映子 初の恋愛長編小説 静かにそして繊細に」

      (川「――わたしは基本的にその恋愛小説でもなんでも、なんか、成就するものがあんまり好きじゃないんですよ。なんか、いっちょあがり系の話っていうのが、なんか、どっちかっていうと、なんか、いや、でも人生ってそんな、上手くいかないことのほうが多いと思って。――初恋とか結構好きなんですよ」)

      滑「――今、川上さんのインタビューを聞くと、なかなかこういろいろ意味深ですけどもねえ」

      (笑)

      室「そうなんですよ――まあ皆さんもうね、ご存知だと思うんですけどね、ご結婚なさって。なんかね、なんか、変だったよね」

      (笑笑笑)

      藤「――川上さんの作品は結構読んでますけども、わりとあの言語的な、レトリックでこう実験をやっていくタイプの人なんですけど、どストレートなんですよ。――背景、今聞いてわかりましたなんとなく。なるほどねと」

      室「だから、お酒に酔ってたんじゃなくて、恋に酔ってらしたってことですよね」

      (笑)

      中「――一作一作をほんとに挑戦されてるんだなっていう、そのやっぱり作家としての姿勢っていうか、なんかこれから先どうなるんだろうっていうのが、見ていきたい作家の一人ですよね」

       中江さんの喋りはほんと聞き取りやすくて文字に起こすのが楽。

    • 驚くべき雲の科学 リチャード・ハンブリン

      室「私じつは、すごい雲ウォッチャーなんですね。本屋さんに行ったら、今雲の本がすごい沢山、書店に並んでまして。それで手にとってるうちに――(本をパラパラめくりつつ)たしかにもうすごい惹きつけられる、変な雲がいっぱいありまして、例えばこれ(本を開いて見せる)、見てください。おっぱい雲ですよ、おっぱい雲。――乳房雲というんですけれども。――怪しい雲もあれば、ロマンチックな雲も載ってますので、とってもお薦めです」

    • 最初の刑事 ウィッチャー警部とロード・ヒル・ハウス殺人事件 ケイト・サマースケイル

      室「これは、イギリスで150年以上前に、ほんとうに起こった子供殺しの事件をもとに書かれたノンフィクションなんですけれども。――この事件をもとに新しいそれこそ推理小説が、その後いっぱいでてきたんですって」

    • 病気の魔女と薬の魔女 岡田晴恵

      室「岡田先生というのは、ウィルスの研究者でありまして、子供たちに向けて、病気の魔女と薬の魔女という、そういう魔女を登場させて、ウィルスのこととか病気はこういうことで発生して、こういう風にみんなで防いでいくんだよということをほんとうにわかりやすく、この物語のなかで、書いてらっしゃるんですけども。難しい専門書はね、ちょっときついという方にはもうすごく、楽しみながら、それですごく胸に響く物語ですので、是非読んでみてください」

    • 合評 ジェノサイド 高野和明

      室「――こういうこと言うとたぶん、高野さんに怒られてしまうと思うんですけど、ムー」が大好きなんですね、あの、雑誌の(笑)。それで、「ムー」の愛読家でして――わたし的にみると、いっぱい入ってるんですね、この中に(皆笑)、この中に「ムー」が」

      藤「びっくりした、まじで。あのー、最近のですねSFもの書く例えば、亡くなりました伊藤計劃さん――もうぶっ飛んだSF小説書きますけど、もう世界レベルですよね」

      中「なんかもう、圧倒されちゃったんですよね。――もう最後のほうは、おおお!ってなだれ込むように読んでしまって。――最後の、このなんていうのかな、ギュッとこう閉じる、閉じ方が素晴らしく、人間的なんですよね」

       三者大絶賛。室井さんが要所々々でユーモア発言を絡ませつつ、「ムー」好きを吐露しつつの素晴らしい書評談義。

     滑川和男(アナウンサー)

    • ねじれた文字、ねじれた路 トム・フランクリン

      滑「――あの、わたくし事ですけれども。やっぱりね学生時代ちょっとね友達ができづらいような時期ってありましてね。どうしてもこう孤独を噛みしめるような時代が……

      室「それなにか、ご自分の性格が災いされてるんですか?」

      (笑)

      滑「まあそれもね、あると思います(笑)。やっぱり、どうしても(笑)、正直言って(笑)。そういうのをですね思い返してみると、ほんっとにね、このねラリーの孤独っていうのがね、胸に沁みるんですよね」

      室「きっとこれは映画化されると思うんですね。絶対に。だから、今から楽しみですね」

       滑川アナの自虐ネタにきっちりツッコミを入れる室井さん。それを横で笑って喜ぶ柘植アナ。面白い。


     藤沢周

    • 下町ロケット 池井戸潤
      週刊ブックレビュー 933号
      特集「池井戸潤 夢は宇宙へ!」

      (池「――これ書いてて、いろんなセリフがでてくるんですけど、ほんとにおっしゃるとおりで、一番人間が感動できる言葉ってのは、ありがとうっていう言葉、だと思うんですよね」)

      藤「――すごく芯が強くて、この芯はなんだろうって考えていったときに、ほんと人間を愛する、人間の幸福ってなんだろうって考える人なんですね。それがモチーフになっていて――それで下町ですよ、中小企業の小さな工場で、ロケットをつくるという、壮大な夢を描く。それを潰そうとする大企業がある。それを負けずに皆で、仲間で力を合わせてつくっていくっていうね、この物語は、どなたが読んでも元気になっていくと思うんですよ」

       俺もこの本を読んで元気をもらいました。ありがとう。

    • ナボコフ全短篇 ウラジーミル・ナボコフ

      藤「この本ね、もの凄い分厚いんですよ。重い、かさばる。ですが――(皆笑)っていうのは、ナボコフの書いた短篇全部が収められてる。宝物のような本ですよ。日常にある裂け目とかね、悪夢、狂気、幻想、あるいは宗教性、様々な角度から短篇を紡ぐんですけども、彼の長篇の原石みたいな、いっぱい詰まってるんですよ。ほんとはねこれ紹介したくないぐらい(騒皆笑)――ずっと、たぶん一生読み続けるんじゃないかな、何度も何度も。そのくらい素晴らしい本ですね」

    • ドストエフスキー 山城むつみ

      藤「――ドストエフスキーの描く作品世界、いかにも地下室的なね主人公たちがいっぱいでてくるんですが、そこに山城むつみが作品の中に入り込んでいって、緻密に観察していくんです。これは力作ですね。圧倒されました」

    • 戦争へ、文学へ 「その後」の戦争小説論 陣野俊史

      藤「――湾岸戦争のころから、新しい戦争、特に9・11以後は新しい戦争と言われている。その時代において、じゃあ、今、現代生きている、日本の作家を扱っているんですけど、日本の作家はどういうふうに書いてきたか。それを読み解いた本なんですね。タイトル堅いんですけど読んでて楽しい。陣野さんすっごく文章上手いんですよ。楽しみながら文学の、あるいは戦争の核みたいなものを教えられる本ですね」

    • 合評 悪の哲学 ちくま哲学の森 3 鶴見俊輔 森毅 井上ひさし 安野光雅 池内紀

      藤「室井さんの、付箋がいっぱい貼ってあって嬉しいな(皆笑)読み込んでくれたなって」

      室「ちがいます、そうじゃなくて、全然わかんなくて(皆笑)あたしちょっと無理だこれ、と思って」

      藤「ほんと様々な悪のバリエーションがいっぱい詰まってるんですけども」

      室「――わりと最初は大丈夫だったんですけどねぇ(皆笑)途中ぐらいからねぇ、ちょーっと眠くなりましてぇ(皆笑)だめなところがあるんですよずいぶん」

      藤「……」

      藤「――善の中に悪があって、悪の中に善があって、これ解らない。ほんと境界がなんとも、はっきりと分けることができない」

      中「――これ編者の鶴見俊輔さんが、ご自身のことをね、僕悪人なんだっていうふうに繰り返しおっしゃっている本でね読んだことがあるんですよね。それがすっごく印象に残ってて、悪人悪人ってどういうことなんだろうと、なんかそのへんあまり説明がされてなかったんですけど、この中でね解説で、自分の内面の悪、外の世界の悪、っていうものに分かれているんだ。外側の悪っていうものが、なんなんだろうと思ったときに、法律を強制するところから悪が生まれる、っていうふうにお書きになってるんですね――」

      藤「――何層もの、善と悪の戦いがあって――」

      藤「――人にとって幸福、あるいは善、悪とはなにか、っていうことですよね」

       この本は興味深いんで必ず読もうと思った。室井さんが眠くなったのはどの辺りかも探りたい。


     柘植恵水(アナウンサー)

    • 世界史をつくった海賊 竹田いさみ

      柘「――わたし学生の頃から世界史苦手で、海賊とかに全く興味ないんですけども――」

      (笑)

      藤「――当時ね、大英帝国って言いますけど、当時は、大英窃盗集団みたいなもんでね、その頃の大ボスがエリザベス女王なんだもん」

      柘「――これ私、高校生くらいのときに読んでいたら、もっと世界史好きになっていたのにな(笑)っていう。若い学生さんにも読んでもらいたい本ですよね」

      滑「難しくないですか?」

      柘「私でも読めるくらい難しくないです」

       個人的に海賊ネタなら、漫画「ヴィンランド・サガ」が一推し。


     中江有里

    • 個人はみな絶滅危惧種という存在 彫刻家・舟越桂の創作メモ 舟越桂
      週間ブックレビュー 932号
      特集「舟越桂 創作メモ「個人はみな絶滅危惧種という存在」について語る」

      (舟「――恥ずかしながら理論的に考えるっていうのがすごく劣ってるほうだと思うんですね。でも時々はいろんな新しい考えみたいな、新しいイメージがやってくるんですけど、見えた瞬間に掴まないと、忘れてっちゃうわけですよね。それを場合によってはメモしたりするわけです。そんなことは僕の中にはあって、とすればやってくるのはイメージだったり言葉だったりするわけです。それは、言葉っていうのは急に現れたり、浮かんできたり、中からでてきたりしますけど、頑張って捕まえないと、しっかり捕まえられないし、逃げてっちゃうし――」)

      室「――作品制作ノートみたいな、ことなんですか?」

      中「作品が全部載せられていて、それに制作メモが少しずつ掲載されているっていうかたちで。舟越さんも、まさかこんなに載せられると思わなかった、っていうふうなことをおっしゃってましたけど。舟越さんのファンのかた、舟越さんに興味のあるかた、是非この一冊は手にとって頂きたいなと」

      滑「やっぱり、舟越さんっていうのは、もの凄く自分の創作と、真剣に向き合ってらっしゃるんだなっていうことが、あのメモ書きを見てわかりましたよね」

    • ラブレス 桜木紫乃

      中「――愛に報われなかった人、だけど、幸せだったんだっていうことが描かれていて――そんなに厚い本じゃないんですけど、話めちゃくちゃ広がるんですよ。これどうやって終わるんだろうと思ったら、見事に、ギュッと終わって、ダーって泣いちゃいまして」

      (笑)
    • テコちゃんの時間 久世光彦との日々 久世朋子

      中「――非常に文章が良いんですよ――久世さんが、わりと一緒にお仕事されていた向田邦子さんを彷彿とさせるような、私はこれ読んでなんかすごく心がふわっとこう暖かくなって、ちょっとほろっときたり、いろんな思いをしたんですけど、見事なエッセイ集だと思いました」

    • 犯罪 フェルディナント・フォン・シーラッハ

      中「――これは弁護士の著者が、実際自分が手がけた事件に材を得て、フィクションで書いていらっしゃるんですけども。――最後になって、えっ!っていうね、解き明かされるわけですね。そういう驚きもあるんですけど、そういう作品がたくさん込められていて、一編一編おもしろいと思いますので、是非お薦めです」

    • 合評 マザーズ 金原ひとみ

      中「――今日この本を薦めるのは実は非常に勇気がいるところがありまして、なんだこんな生ぬるい話というふうに思われるかもしれないな、とも思ったんですけど、でも是非今年だからこそこの本薦めたいって気持ちがあったんですね。2011年を象徴する漢字が絆っていうふうに家族の絆であるとか、親子の絆であるとかそうゆうものが、非常に皆さんが注目されたと思うんですけど――絆の中に縛られてしまった親子であり、家族っていうものが多く描かれています」

      中「――自分、子供いませんし、子育てしたこともないですから、ただこれ読んでるとなんか自分に子供がいて、育児してるような気分になってきて、だんだん苦しくなってきちゃって、へっへっ(笑)どうしようっていうねぇ、なんとも言えない気持ちになっちゃったんですよね。ふへへへっへへっ(笑)

      藤「これね、非常に凄絶な物語だとな思って。フィクションなんですけど、私小説的な迫力を覚えたんですよ。ってことはつまりリアルに僕は感じたわけですよね。このリアリティってなにかなと思ったら、もちろん育児の細部は描かれるんだけども、育児だけではなくて、育児をめぐって様々な細部のなかに反射される自我、それぞれの母親の自我、これが歪んでるんですよ。歪まざるを得ない現代みたいなのがでてるんで、それで僕はもう、うわっとびっくりしちゃった。今までの子育てでの悩みとか苦悩とか絶望とかと、もっと、それよりもっと深刻なね、孤絶感、孤独感、これえぐりだしてるなと思って」

      室「わたしは正直言ってね、自分も子供も産んだことないのにあんまり偉そうなことは言えないんですが、んー、こんななのっていうのが正直なところで――まずでてくる男性が、女性はねなんか三人三様いろいろなんかあれなんですけど、男がもう大人しすぎちゃって、意外に存在感がありそうで、ない……ね、全然。だから、正直言って最初読み始めて、ちょっとこの小説きついってわたしは思ったんですよ。それで、だけど途中でドラマのいろんな展開がやっぱりおもしろいので、惹きつけられて結局は最後まで読んで、途中で泣いたりなんかもするんですよ。だから結果的にはとっても良かったんですが、ただ、あのー……(四秒沈黙)たった一人か二人の子供でこうなのかな今ってっていうのが、わたしはほんと自分は一人っ子だし、自分も子供もいないし、猫は五匹も六匹もいるんですけども(皆笑)んー、ちょっとそのー、好きになれない、悪いけどこの中の登場(人物)、普通三人女性がでてきたら、誰かちょっと同情したり、誰か好きになったりするもんなんですけど――ちょっとまあ極端な仕事の人と、そういう人がでてくるので、同じものを描くにしてももしかしたら、こうじゃない入口と、こうじゃない出口がひょっとしたら、あるのではないのかなというふうに」

      中「でも、この感じって、どっかで誰かはあるんじゃないかなって、わたしはそういうふうに読んでいて思ったんですよね。それはやっぱり母性っていうものが女性はあるっていうふうに幻想としてそうゆうふうに見られているっていうこともあるし、自分自身もずっと生きていくなかで、どこかで、自分に情報として入ってきた母親ってこういうものなんだって、子供をこういうふうに愛するんだっていうような、そういう思いに自分自身で苦しんでる、そういう人達のなんか叫びが非常に伝わってきて――こういうことを本にして書いたっていうのが小説にしたっていう金原さんの覚悟みたいなのがすごいと思いましたよね」

      柘「虐待はもちろんだめなんですけど、出産すると皆が言うのは、虐待のニュースを聞いて前はありえないと思ったのが、産んでみると、あっ、一瞬でもわかるっていうか、ほんとに毎日言葉の通じない相手に二十四時間なってくと、自分が自分じゃなくなるような、一瞬手をあげるとかそうゆうのがわからなくはないって皆が言うってことは、その本でひょっとして、あっ自分だけじゃないって思う人がね、いるかもしれないですよね」

      滑「これまあ、あのー、妻にも子供たちにも健やかで(皆笑)健康にいてほしいなというふうに思うんですけども、これ、夫としてできることってなんか、あるんでしょうかね」

      (笑)

      室「このなかにでてくる男の人と同じ反応ですよ」

      (笑笑笑)

      中「だから休みの日に「子供を預かっとくよ」って言っちゃだめなんですよ。『おまえの子だろ』(笑)そうそう、そういうふうに書いてありました(笑)」

      (笑)

       ほんとうにこれはリアルなのだろうか。柘植アナが言うような一瞬は誰にでもありえる話なのかもしれないが、それとこの小説のなかのこととを結びつけてもあまり意味はないような。フィクションにおけるリアルは評価としてありだけど、フィクションにおけるリアルと真のリアルとでは全く別物であって。室井さんがきっちり批評している感じだからまあバランスはとれてるけど。


    エンディング

    滑「というわけで、以上、2011、私が選ぶこの一冊のコーナーでした。――お三方ですね、それぞれ五冊ずつ、持ってきていただきましたけれども、室井さん、長時間いかがでしたか」

    室「ありがとうございました。次回からもこの席で(皆笑)この席が良いですね(笑)」

    滑「えー、藤沢さん」

    藤「居心地いいですね。また読みたい本が増えちゃったなと」

    中「なんかやっぱり、通ずるところってあるんだなと。今回『悪』っていうことでなにかこう作品のなかで通じてるなと思って。いつもね司会の席にいると、どうして合評の人の本がなにかこう一つのなんか繋がるとこあるんだろうと思いますけど」

    滑「なんか流れみたいなね、あるんですよね、不思議なもんですけれども」

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    レッド・ドラゴン

    映画 / mihiro
     いわゆるエピソード・ゼロ作品的な「期待するほどではなかった感」があり、それでも一定の完成度は確保されているから評価はできるんだけれども、「レクター博士がいなくても事件解決できるだろう」というか、「――しなきゃだめだろう」、と言いたくなる程度の事件・犯人なレッド・ドラゴン。

     二時間の映画枠でパターン化した展開に感じてしまったのも大きなマイナスで、妻子に危険が及ぶのもお約束すぎるし、そのきっかけにレクター博士が絡んだところもなんだか運と間抜けの産物でしかなく、知的恐怖というものをほとんど感じることができなかった。
     クリミナル・マインドあたりを観まくっているうちに感覚がすれてしまったのだろうか。車椅子に貼り付け状態にされているのもなんだか間抜けでしかなく、もっと必死に抵抗するなり暴れるなりするもんだろうと。

     というわけで、星六つ。★★★★★ ★☆☆☆☆

    レッド・ドラゴン [DVD]レッド・ドラゴン [DVD]
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